ひとみ

人間の瞳を見つめるのが大好きなのだが、「目を見て話を聞く」ということに意味があり過ぎて、どうにも瞳の観察自体が落ち着きを得ない。
それと、相手の「両」目を見るということは、相手の顔を見ることに近い。だって瞳の間に肌があるのだから。これが歯痒い。だから僕は瞳を観察するとき、どうしても片方の瞳を注視する。そうすっと、こっちの瞳は不恰好な向き方してんじゃねえの? こっちの右目であっちの左目を見るとき、こっちの左目は不恰好に傾いてんじゃねえの? と思う。そういうのを気にすることなく集中できるときはいいんだけれど。

人間の瞳には常に思った以上の情報がある。瞳はIDに近い。