ジュブナイル・ジュブナイル

猫十字社の『小さなお茶会』で泣きそうになるハタチ過ぎの男子学生ほど気持ちの悪いものはそう無いだろう。指すところつまりぼくである。みんな罵倒すればいいんだ! (それはそれでやぶさかでもない)。 昔のことというのは、ひとたび思い出すと堰を切ったよ…

よくある話で

今、作家はどれほど諧謔的/批判的であるべきか、ということについて、最近考えている。 物語が飽和している世の中で、未到達地点を探すことは甚だ難しい。だからこそぼくは、パクらないように色々な作品を鑑賞しているところがある。「莫大な量のアーカイヴ…

がんばれひひょうか

ぼくは「芸術性が高い」というフレーズで分かりやすく説明される作品が好きである、が、この表現が的を射たものだとは、あまり思えない。 作者ごとに表現のコードというのは存在して、一つ一つの表現が「理解しやすい」とか「テーマ自体が遍在的でない」とか…

最近聴いているもの

イースタンユース『其処カラ何ガ見エルカ』 クラムボン『Musical』 kukl『The Eyes』 ゆらゆら帝国『Sweet Spot』 凛として時雨『Inspiration is DEAD』イースタンはどうしてあんなに格好がいいんだろう。本気だからだろうか。 本気になった人間と向き合う恐…

カーニバルの必要

ニコニコ動画を観ていると人と話がしたくなってくる。 youtubeを観始めた当初は、映像を一人観続ける状態を顧みて「イカン」と思い人と話したくなったが、ニコニコのそれは少し違う。「話が出来ない状態が明確に続く」から、誰かと話したくなる。 消費者が、…

聡い芋

酢豚の中のパイナップルも、ポテトサラダの中のりんごも好きなのだが、けんちんの中の里芋が嫌いである。噛み割ってみるとボソッとした内部に、汁の味も香りも染みていないのが癪である。じゃが芋もそうか? でもじゃが芋の香りはいいじゃない。里芋よりもス…

グッド・ウィドゥム

マンガのリズムとは。 マンガ好きで一応知られるアソーさんがいつだか「日本人は幼い頃からマンガを読むから、マンガの文法を、誰に教えられるでもなく知っている」と仰っていた。かの人がどこまでマンガに精通しているか、ぼくはまだいまいち量れていないが…

めんたい・チーズ・てりやき・たこやき

友人から「問屋でうまい棒を120本買ってしあわせ」というEメールが届いた。ぼくになにをどうしろというのだ。

打倒「へー、ゴダール好きなんだ。そこらへん観てりゃシネフィル名乗れると思ってんだろ」派

難解な作品というのがあって、芸術性を高めるために梗概を意味不明なものにしたり、オチが唐突過ぎたりする訳である。 このテの作品群の真の難しさは、肯定寄りの人間は「分かった面しやがって」という蔑視をされるし、否定寄りの人間もまた「理解しようとも…

閉塞という解放

T.N

先日、帰宅のために使う路線がストップした。強風のためである。その線自体は四時間ばかり停まっていて、ぼくも車両に乗り込んでから二時間以上は坐して待つ羽目になった。ぼくの最寄り駅はその線しか通っていないので、迂回乗車なんかではかなり金がかかっ…

ユーミング

『時のないホテル』マジ名盤。ユーミンのアルバムで好きなのは、ファーストとセカンド『ひこうき雲』と『MISSLIM』だけだったが、『時のないホテル』は、ぼくがあんまり好かない「松任谷然」としたユーミンの要素がうまいほうに働いているようで、イイ。なん…

あの粉

すんげえ量の鼻水が出ていた。マジで? 花粉症か俺? と危ぶんでいたがただの鼻風邪だったらしい。本当によかった。 なんか今年はキルスティン・ダンスト、じゃないや、暖冬なようで花粉もえらいことになるらしい。今年も出ないといいなあ。花粉を可視化する…

パスワード復興委員会

ニコニコにおいて荒らしが蔓延するのは、やはりコメントの即効性の高さが要因だと思う。ヴィジュアルとしてすぐに反映されるし現示性が強い。 下部リンクにあるAirReaderさんのところで「お手軽罵倒語はキケンだ」という文章を拝見したが、即効性がよりどこ…

クロノロジックアクション

ぼくが手塚の『火の鳥』を初めて読んだのは小2の時だった。家族でジャスコに行き、母親と共に書店へ行った時だった。ぼくは当時から本が好きだったので、経済力が全くと言っていいほど無い当時であるから、まさに書店は壮大な場所だった。 母は偶然『火の鳥…

符号化ってユースフル

最近、自宅からはてなにログインできない。ホワイ? 榎本俊二に関する考察もまだ雑多だから更新は難しいのだけれど。先日書店に行って、小谷野敦の本を立ち読みして、今度買おうと表紙を見たら、なぜかイラストが花くまゆうさくのものだった。確かにかまボイ…

蔑視線恥丘号

アニメファンが声優の顔出し番組に(というか、自分たちのフィールドのタレントを、他のフィールドに引きずり出す行為に)神経質な理由とは? 単に「何いまさらこっちに手ぇ出してきてんだよ、俺たちの〜〜にちょっかい出すんじゃねーよ」という排他もあるだろ…

無言の誘致

ルイス・ブニュエルの『昼顔』を観る。 映画としてものすごく良かったが、とりあえず、エロについて考えさせられた。 前置きとしてあらすじを述べる。 美しき若妻・セヴリーヌは夫と円満な関係を築きながらも彼とのセックスに踏み切れない。しかし、彼や彼の…

口吻闘争

抽象的な意味合いしか設定しないまま特定の単語を使い続けることが出来る能力ってスゴイ。ぼくが好む話題がそっちに寄りがちだからか、ぼくとの会話の受け手は「哲学的」「文学的」という言葉を使う例が多い。それを聞く度、腑に落ちぬものを感じる。人々は…

ノイズ

ノイズというものが好きで、よくギターのフィードバック・ノイズが効いている音楽を聴くし、自分でもシンセを使ってギンギンした音を出したりする。 自分では認識しきれないものと接するのが大好きで、映画でも、一秒かけないようなカットバック(一番好きな…

爪の垢の二番煎じ

何かに憧れてものをつくる、というのは、ぼくたちの世代では逃れられない前提としてあって、現代において創作をしようとすると剽窃の危険性が自動的に発生する。 これは、先駆者が既にあることによって作品を世に出すことが困難になる、ということでもあるけ…

えも

ぶわぁっ、と曲が自分の周りをくるむ音楽が好きで、ビョークの一部の楽曲とか、ゆらゆら帝国の「無い!!!」などがその一例。そういうものを聴いていると、「自分は今この音楽に撫ぜられている!」と実感出来て気持ちよい。V∞REDOMSのパフォーマンスも似ている…

漫画家五十音・う

うのせけんいちも研究したいが、知識の限界からうすた京介を選択する。ギャグで言えばシュール・不条理・ナンセンスに分類されるうすただが、彼がその元祖として扱われるのは適当でない。彼の処女作は、短編集「チクサクコール」に見られる90年の作「ザ★手ぬ…

ひとみ

人間の瞳を見つめるのが大好きなのだが、「目を見て話を聞く」ということに意味があり過ぎて、どうにも瞳の観察自体が落ち着きを得ない。 それと、相手の「両」目を見るということは、相手の顔を見ることに近い。だって瞳の間に肌があるのだから。これが歯痒…

ワープロ脳

ある行列に並んでいると、後ろにいる女性二人の会話を耳が拾う。女A「〜〜ちゃんに訊かれたとき、私『ダンボウ』の『ボウ』間違えちゃってえ」 どうやら漢字の話らしい。 女Q「えー、どういった按配に?」 女A「ボウカンのボウ、って言っちゃったのゥ」傍…

漫画家五十音・い

一色まことも、いとうみきおも、伊藤理佐も井上三太も捨てがたい。それでもやっぱり、ぼくは岩明均からは逃れられないのである。 ぼくの周囲には多くの漫画狂があるので、情報には恵まれている。「寄生獣」の名前を聞くことは少なくなかった。しかしアフタヌ…

ジャンプスクエア

小畑の絵が田島昭宇に似すぎてて笑うっきゃない。森田まさのりの原作とは噛み合うべくも無いって分かってただろうにね。虚しいエポックメイキングですね。 とにかく遠藤達哉が連載を持ったことがうれしくてしょうがない。あの人はあんなにカラーがきれいだっ…

嫌悪の過程

T.N

言いたいことを言えない事ほど、苦しい事は無い。どれだけことばを飼い馴らしても、その場でことばが出せない苦しみは途轍もない。 T.Nのヤツは、僕が持つことばへの矜持を知っているせいで、からかいを忘れない。自分でも隠したくなるほどカオティックに湧…

漫画家五十音・あ

新井英樹という漫画家がいる。 彼の演出能力というのは、ぼくからしてみたらモンスターである。既視感を烈しく煽り立てる大衆の描写、性や暴力への(過剰なまでの)思い切りの良さ、情報過多な説明と、描画による「説明以上の説明」。何よりも、解釈集団として…

カタルシス

ゲームというのは、カタルシスが無いとやってられない。そりゃそうである。フラストレーションを溜めるために「作業」するのはどう考えてもおかしい。レベルを上げてボスを倒す。フラグを立てて絵を観る。完結が上手くいかなければ、ゲームのレーゾンデート…

育成

T.N

ペットを飼う(≠ペッティング)ということをしたことがない。だから「うちの犬がモビー・ディックのドラムを完コピしちゃって」とか「うちのフェネックが、俺がトゥルーエンド観る前にテキストも画も100%出しちゃって」とか、といったような笑い話を聞いても…