カタルシス

ゲームというのは、カタルシスが無いとやってられない。そりゃそうである。フラストレーションを溜めるために「作業」するのはどう考えてもおかしい。レベルを上げてボスを倒す。フラグを立てて絵を観る。完結が上手くいかなければ、ゲームのレーゾンデートルが危うくなる。
その点で「MOTHER」シリーズはすごく優れている。ラスボスの倒し方の点で。

前記しておくと、MOTHERシリーズのラスボスは、総じて従来の戦闘体系から逸脱している。ダメージを一定以上与えれば勝ち、というRPGの戦闘における常識を無視。今までやらせといて、なんじゃそりゃあ、という人もいようが、僕はこれでいいと思う。
ラスボスというのは、その名の通り、ラスト・ボス。最後のボス。そのボス倒せばゲームクリア。RPGにおいてはゲーム自体の価値の判断材料になる重要なコンテンツ。それまでのドラマの完遂。
だから『負けちゃいけない』のである。ラスボスに負けて、レベル上げて雪辱戦、なんていうのは興が削がれるどころの話じゃない。最大の敵と戦い、負けてまた挑んで勝つ。無粋! どう考えても無粋である。
だから「分かれば勝つ」ぐらいの姿勢をとるMOTHERシリーズは間違っていない。これがデバッグもろくにしてないシューティングで安帯見つけりゃ楽勝とかいう話なら、また別問題。MOTHERシリーズは及第点どころか合格点も遥かに上回るほどドラマティックに演出を成功させているので、クリアには味気無さどころか、必死に戦闘を終えた時に匹敵する疲弊と快感が伴う。だから許せるのである。

ものすごい変化球を身につけても、ストライクゾーンに入らなかったり打者に振らせなけりゃ価値が無い、というお話。それだけ(変化球)で見世物として成立しちゃうような例もあるけれど。