きほん・そのに

物語が物語として成り立つために、一番重要なものは何か、と言われたら、多分ミーは「美化」だと答える。文字通り「美しくする」という意味で。
現実世界に照らしたリアリティを放逐してでも美しくさせることが最も重要だ。美しくないものは物語にならない。芸術にならない。

ある点では、美化というのはそのまんま嘘臭さにつながる。
大好きな映画に「人生が物語のように 明晰で 論理的で 脈絡があってほしいのに」なんて台詞があって、ハッキリ言っちゃうと、この台詞がミーの言いたいことのままなのだけれど、そんなことを言うと芸が無いから補足したい。
もし世の中を作り動かす神がいるとしたら、それは『因果』だ。思わず二重括弧打っちゃうぐらい、確信している。
「Aが起こったから、X子さんはBのような行いに走り、その結果Cはホニャララ」ということね。ドラマというのは出来事の波であり、出来事とは、因果無くして在る事が出来ない。
そんでもって、人間は、何かが変化することを面白いと思うものである。子供を見れば分かるだろう。彼らはテレビのチャンネルを変えたり、人が泣いたり笑ったりするだけで面白がる。飽きるまで。
絵画や彫刻なんかなら「変わらないから面白い」のかもしれない。でもまあ、芸術は、受け取ったときの感情の変遷を楽しむ一面があるし、変わらないものに接して自分の変化を悟るというのもよくある話で。

ドラマは因果を整えたものだから面白いのであり、それは人為である以上「非現実」であり、現実でない以上ある種の嘘・虚構だ。良い嘘臭さを作るのが、ストーリーテラーの絶対条件だと思う。