うえいと

何かを創る人・創ったことがある人なら分かってくれるかと思うが、創作において「比重」は凄まじく大事だ。「語るべきところ」と「語らなくてもいいところ」の比重とか、映画で言えば「話」と「映像」の比重なんかも大事である。

以前ある人に「お前は、物語を作る人間としての最低限のレベルはクリアしている。学校に通っても、本当につまらないものしか作れない人間は大勢いる」という言葉を頂いた。
そのレベルというものの存在をはっきりと聞かないまま、その会話は終わってしまい、僕はそのボーダーラインについて、今でも時々考察している。
比重への理解は、そのひとつなのではないか。作品を良くするために必要なことへの理解。結局そういうものへの理解を促すのは、本人の矜持や努力だ。
一瞬そういうものは才能なのか、と思ったが、食指を伸ばして色んなものを取り入れ続ければ、何が作品をつまらなくしているか、面白くしているかは自ずと見えてくる。

(だから誰もが本気を出せば、形を成すぐらいは出来る。後は自分の才気も修練も、全力でぶん投げるだけなのだ)

周囲にそれが分かっている人間が多くいてうれしい。本気でものを楽しめる人間というのは素晴らしい。創作物に愛情があり、寛容を示し、峻厳な評価をも併せ持つ人間。そうなりたいと思う。