嫌悪の過程

言いたいことを言えない事ほど、苦しい事は無い。どれだけことばを飼い馴らしても、その場でことばが出せない苦しみは途轍もない。
T.Nのヤツは、僕が持つことばへの矜持を知っているせいで、からかいを忘れない。自分でも隠したくなるほどカオティックに湧き出る後悔を見逃さず、その感情に拍車をかけて、僕が押し殺そうとする横から邪魔ばかりするのである。無視しようとしても、意識の表層に感情を押し出してきて、感情から汚水が染み出し、あっという間に汚わいと悪臭が広がる。そこまで来れば自然と自己嫌悪は始まっちまい、情緒は揺らぐのである。

感情上の事件を隠したり明るみに出したり、T.Nは、僕が最も衝撃を受けるアピールのかたちを知っていて、そういう努力をいつもしている。面倒だが愛らしい。